日本学士院

物故会員個人情報

 

氏名

杉村隆 (すぎむら たかし)

 

所属部・分科

第2部第7分科

選定年月日

昭和57年12月13日

退任年月日

令和2年9月6日

専攻学科目

生化学・腫瘍学

過去の要職

国立がん研究センター名誉総長
東邦大学名誉学長
日本学士院長
公益財団法人日本対がん協会顧問

受賞等

〔国内〕

高松宮妃癌研究基金学術賞(昭和44年)
武田医学賞(昭和49年)
藤原賞(昭和50年)
恩賜賞・日本学士院賞(昭和51年)
文化功労者(昭和53年)
文化勲章(昭和53年)
日本国際賞(平成9年)
勲一等瑞宝章(平成10年)

〔海外〕

米国バートナー癌研究学術賞(1981年)
米国ジェネラルモータース癌研究基金モット賞(1981年)

主要な学術上の業績

胃癌を動物に作ることは極めて困難なことでしたが、杉村 隆氏は突然変異原物質Nメチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジンを飲料水に加えて投与することによって成功しました。この方法でラット、犬に作られる胃癌は、人の胃癌に極めてよく類似し、胃癌発生の過程を追求することができるようになりました。また、蛋白質の加熱分解でできる変異原性の物質を明らかにし、人癌と関係のある発癌物質および発癌の生化学領域で多くの研究成果をあげています。

 癌の発生が数個以上の体細胞の遺伝子変化によることを明らかにしましたが、同時に遺伝子の構造変化を伴わない発現異常が癌化に関係していることにも注目しています。ポリ(ADP-リボース)と、その合成酵素を発見しました。癌化細胞分化も関連しています。またモンシロチョウの仲間に、癌細胞にアポトーシスを起こすペプチド(ピエリシン)を発見しました。幼虫末期と蛹期に多く、DNAのグアニンを ADP-リボシル化します。

主要な著書・論文