日本学士院

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天皇陛下おことば(日本学士院第110回及び第111回授賞式 令和3年6月21日)

日本学士院が第110回及び第111回授賞式を迎え、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

日本学士院は、明治12年に東京学士会院として創設され、明治44年に恩賜賞と帝国学士院賞が、昭和62年に日本学士院エジンバラ公賞が創設されてから今日まで、世界に誇ることのできる数多くの研究が各賞を受賞してきました。日本学士院が、学術の進歩や発展に大きな業績を挙げてきたことを、喜ばしく思います。

日本学士院による授賞は戦中、戦後を含め絶えることなく続けられました。終戦直前の昭和20年には13件の、終戦直後の昭和21年にも3件の研究に対して授賞が行われました。厳しい状況の中にあっても学問を脈々と続けられた研究者の方々の熱意と努力には、深い感慨を覚えるとともに大変勇気付けられる思いがいたします。

他方、今回の授賞には日本学士院エジンバラ公賞も含まれていますが、同賞に多大な援助をされた英国エジンバラ公フィリップ殿下が4月に薨去(こうきょ)されたことは、誠に残念なことであり、謹んでお悔やみを申し上げます。

この度の第110回及び第111回授賞式に当たり、受賞された20名の方々の業績に対し深く敬意を表し、心からお祝いいたします。それとともに、それぞれの研究を支えてこられた御家族や共同研究者の方々の御協力にも大きなものがあったことと思います。

現在、我が国を含め世界各国は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という大変に厳しい試練に直面しています。この試練を乗り越えるためには、国内外を問わず、私たちが、なお一層心を一つにして協力していくことが大切です。また、新型コロナウイルス感染症の問題は、単に医学の問題にとどまらず、経済や社会の在り方にも広く関わる課題を私たちに提起しました。学問は常に新しい未来を切り拓(ひら)く力となるものであり、このような試練に世界が直面している今こそ、医学を始め、自然科学、人文社会科学の学問諸分野の叡智(えいち)を結集し、世界の人々が互いに力を合わせることにより、この困難な状況を乗り越え、希望に満ちた未来を築いていくことを期待します。

日本学士院が、今後も碩(せき)学の府として、世界の学界と相携えながら、我が国と世界の学術の発展に寄与していくことを願い、お祝いの言葉といたします。