日本学士院客員の選定について
日本学士院は、平成21年11月12日開催の第1033回総会において、キース・トマス氏を日本学士院客員に選定しましたので、お知らせいたします。
氏名 | サー・キース・トマス Sir Keith Thomas | |
---|---|---|
現職 | 前英国学士院長・前オックスフォード大学コーパス・クリスティ学寮長 | |
居住地 | 連合王国 オックスフォード在住 | |
専攻学科目 | 英国近代史 | |
生年 | 1933年(76歳) | |
略歴 | 1954年 オックスフォード大学史学科修士課程卒業 |
|
主要な学術上の業績 | キース・トマス氏は早くから人間の身近な事柄の意味の歴史に注目し、政治中心の歴史学にかわる「社会史」の樹立に尽力した。人類学者が異文化を研究するやり方を時間軸に移して「われわれが失くした世界」がもっていた価値観や心性・思考原理を追体験するその学問態度は多くの優れた業績を生んだが、代表作は『宗教と魔術の衰退』(1971)、キリスト教が魔術と対立しつつそれを取りこんでいった足跡を厖大な資料を渉猟しつつ闡明した、20世紀後半のイギリス歴史学の記念碑的労作である。氏のその後の関心は人間による自然破壊やその反動としてのエコロジー運動、転換期における庶民の生き方等に向けられてきたが、徹底した史料の読みこみによる過去の鮮やかな再現を通して内外の英国近代史・英文学関係者をつねに魅了し続けてきた。 |