日本学士院客員の選定について
日本学士院は、平成20年5月12日開催の第1019回総会において、日本学士院客員3名を選定しましたので、お知らせいたします。
選定された客員は以下のとおりです。
氏名 | 季 羨林教授 Professor Ji Xianlin | ![]() |
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現職 | 北京大学名誉教授 Professor Emeritus, Peking University | |
居住地 | 中華人民共和国 北京市在住 | |
専攻学科目 | 言語学 | |
生年 | 1911年(96歳) | |
略歴 | 1934年 清華大学西洋文学科卒業 |
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主要な学術上の業績 | 季 羨林氏は、若くしてドイツに学び、戦後帰国して以来今日まで、多方面に亘り中国学界を牽引してきた学者として、その業績は国の内外に広く知られている。その著作は『季 羨林文集』24巻(1998年)の中に収められているが、その中の第3巻「中期インド・アリアン語研究(独文)と、第11-12巻「トカラ語原典の校閲研究」(英文)は同氏の歴史言語学への貢献を、また、第4巻「大唐西域記訳注」と、第9-10巻「糖史」(印度篇と中国篇)は広く東西交渉史への貢献を如実に物語っている。また、15-24巻は古代インドの法典、叙事詩、説話集、戯曲の梵文原典からの忠実な中国語訳を構成して、ここに絢爛たる古代インド文化は体系的に初めて中国に紹介された。 |
氏名 | 金 泰吉博士 Professor Kim Tae-Kil | ![]() |
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現職 | 大韓民国学術院会長 President, The National Academy of Sciences, Republic of Korea ソウル国立大学校名誉教授 Professor Emeritus, Seoul National University |
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居住地 | 大韓民国 京畿道在住 | |
専攻学科目 | 倫理学 | |
生年 | 1920年(87歳) | |
略歴 | 1943-1945年 東京帝国大学法学部在学 |
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主要な学術上の業績 | 金 泰吉氏は、日本における高等教育課程を第三高等学校および東京帝国大学法学部で修了しようとする時に、日本の敗戦と祖国の独立による政治・言語・思想の大転換に直面した。同氏はこの混乱を克服するための思想的足場を倫理学に求め、近代倫理学体系を韓国に導入、確立した。同氏の主著の一つである『倫理学』は、韓国における標準的著作として版を重ねているが、同氏はそこから進んで李朝朝鮮以来の伝統的価値観を批判的分析の対象とした。このような経歴と研究業績によって同氏は、韓国の思想、人文社会科学に世界的な学術交流の道を開いたのであり、とくに日韓学術交流に対する同氏の貢献は極めて大きい。 |
氏名 | マッシモ・リヴィ・バッチ教授 Professor Massimo Livi Bacci | ![]() |
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現職 | フィレンツェ大学教授 Professor, University of Florence |
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居住地 | イタリア共和国 フィレンツェ在住 | |
専攻学科目 | 人口学 | |
生年 | 1936年(71歳) | |
略歴 | 1960年 フィレンツェ大学政治学部卒業 |
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主要な学術上の業績 | マッシモ・リヴィ・バッチ氏は、人口学の分野において世界をリードする学者である。人口学を、単に人の数を数える単純な統計から、人間の持つ資質、そして古い時代から現代そして未来を見据える長期的考察と、特に最近における出生率変動の動向、そして、地理的には世界にまたがる視野を持って観察・分析・総括を行い、多くの著書を刊行してきた。また同氏は、人口学の国際組織である国際人口学連合の事務局長、会長を務め、イタリアの最高アカデミーであるリンチェイ・アカデミー会員にも選ばれている。 |