物故会員個人情報
氏名
辻村公一 (つじむら こういち)
所属部・分科
第1部第1分科
選定年月日
平成5年12月13日
退任年月日
平成22年5月28日
専攻学科目
哲学
過去の要職
京都大学名誉教授
受賞等
〔国内〕
勲二等瑞宝章 (平成6年)
〔海外〕
主要な学術上の業績
辻村公一氏の業績の最も主要なるものは、現代哲学における最も重要な1人ハイデッガーの思索(「有の真実性への問」)をその全行程において精細に解明し、それを西田哲学以来の絶対無の哲学と対決的に究明したことです。例えばハイデッガー自身が書いているように、彼が主著として企図した「有と時」(Sein und Zeit, 1927)は、「と」(und)から「有」(Sein)と「時」(Zeit)とを解明せんとした試みであり、幾多の挫折と変遷とを通って「と」は最終的に独特な「最後の神」とか「神のような者」とも言われるようになります。2500年来の西洋哲学がハイデッガーにおいて未曾有の転回点に達したが、その「神のような者」(ein Gott)は、絶対無の哲学においてしか克服の道を見出し得ないでしょう。それは更なる展開を必要とします。。
主要な著書・論文
- 「ハイデッガー論攷」〔1971年、創文社、菊版278頁、論文4、附論3より成る。文学博士(京大)論文〕
- 「ハイデッガーの思索」〔1991年、創文社、菊版364頁、第1部 (論文4)第2部(論文4)から成り、上記の対決を試みたもの。主著〕
- 「ドイツ観念論断想」〔1993年、創文社、菊版208頁、Iドイツ觀念論、全体を絶対知の問題として把え、IIフィヒテの知識学を初期から後期へ述べ、IIIシェリング自由論の無底を通り、IVとVとでヘーゲルの初期論文を述べた。附論1あり〕
- Eine Bemerkung zu Heideggers, Aus der Erfahung des Denkens in Nachden über Heidegger hrsg. Ute Guzzoni 1980 (S.275-S.286)
- Festrede von Professor Kôichi Tsujimura, Kyoto, Japan: Martin Heideggers Denken und die japanische philosophie. In Martin Heidegger/26. September1969: S.9-S.19. ハイデッガー80歳記念講演。その他ドイツ語で書かれた論文若干あり。