日本学士院

会員情報

 

氏名

鈴木厚人(すずき あつと)

鈴木厚人

 

所属部・分科

第2部第4分科

選定年月日

令和4年12月12日

専攻学科目

物理学

現職等

受賞等

〔国内〕

〔海外〕

外国アカデミー会員等

ロシア科学アカデミー外国人会員(2012年)

主要な学術上の業績

鈴木厚人氏は、様々なニュートリノの観測的研究を通して多くの成果をあげました。特に鈴木氏自身の発案で建設された1,000トンの液体シンチレータを用いたカムランド実験で、カムランドからおおよそ180km離れた地点に存在する多数の原子炉で生成される反電子ニュートリノを測定し、測定されたニュートリノが予想値より少なく、またその減り方がニュートリノのエネルギーに依存し、ニュートリノ振動の予想とよく合うことを示しました。これにより長年の課題となっていた太陽ニュートリノ欠損の問題が、ニュートリノに小さな質量があることでおこるニュートリノ振動によるもので間違いないことを示しました。

また、カムランド実験で地球内部に存在するウランやトリウムの崩壊で生成される反電子ニュートリノを世界で初めて観測し、ニュートリノを使って地球内部ダイナミクスの理解や地球形成・進化の理解を得るニュートリノ地球科学という新分野を開拓しました。

主要な著書・論文

〔著書〕

  1. Physics and Astrophysics of Neutrinos(編著、著者、Springer、1994)
  2. ニュートリノと重力波(共著者)、裳華房、1997年
  3. ニュートリノでめぐる素粒子・宇宙の旅(訳者、Springer、2007)
  4. 現代物理学の世界(共著者)、講談社、2010年
  5. ニュートリノでわかる宇宙・素粒子の謎(著者、集英社、2013)
  6. カミオカンデとニュートリノ(監修、著者、丸善出版社、2016)

リンク

  http://souran.iwate-pu.ac.jp/html/200000111_ja.html