日本学士院

会員情報

 

氏名

香取秀俊(かとり ひでとし)


 

所属部・分科

第2部第4分科

選定年月日

令和5年12月12日

専攻学科目

量子エレクトロニクス

現職等

受賞等

〔国内〕

〔海外〕

 

外国アカデミー会員等

 

主要な学術上の業績

香取秀俊氏はセシウム原子時計の精度を千倍程度上回る光格子時計を提案し実現しました。現在、時間の単位「秒」はセシウム原子時計で定義され、その精度は15桁に達しています。原子時計はGPSをはじめとする全地球測位システムに必須であり、電波時計用の標準電波の送信、通信ネットワークの同期、国際証券取引などに使われ、現代社会を支えています。

原子時計の精度は、原子の運動に伴うドップラー効果による振動数変化や原子の観測の際に生じる量子雑音で制限されます。香取氏はレーザー光の干渉により光格子を作り、光の波長より狭い領域に原子を閉じ込めることでドップラー効果を抑制するとともに、多数原子の測定により量子雑音を低減する光格子時計を提案しました。この光格子を作る光電場の影響を排除するため、関与する準位のエネルギー変化を相殺する魔法波長を用いることで18桁の精度を実現しました。光格子時計は「秒」の再定義の最有力候補であり、それを使い「重力が強いと時間はゆっくり進む」という一般相対性理論の検証も行いました。重力を時間の進み方の違いとして検出することで、相対論的測地学や地殻変動観測にも応用できます。

主要な著書・論文

 

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