会員情報
氏名
渡辺浩(わたなべ ひろし)
所属部・分科
第1部第2分科
選定年月日
平成29年12月12日
専攻学科目
日本政治思想史
現職等
東京大学名誉教授
法政大学名誉教授
受賞等
〔国内〕
〔海外〕
外国アカデミー会員等
主要な学術上の業績
渡辺 浩氏は、徳川時代・明治時代の日本の政治思想史研究において、近世社会に生きられた思想の具体的な姿を追求する立場から、従来の思想史を読み直すことを促す衝撃的な業績を次々に挙げてきました。第一に、徳川時代の儒学史の独自な展開とダイナミズムを、朱子学を学んで筆記試験に合格することによって登庸される文人官僚が中心となって支配する明国・清国及び朝鮮国と、原則として世襲の武士身分が支配する徳川日本との異質性を念頭に、綿密な実証作業を通じて説得的に解き明かしたことです。渡辺氏は、さらに、この徳川時代研究を踏まえて、徳川時代末期から明治までの西洋との接触についても、それが儒学の枠組みに深く規定されていたことを様々な角度から解明し、特に、儒学的な信念や思考枠組みを有するが故に、西洋の「文明」を高く評価し、それを受け入れようとする態度が、様々な面で存在したことを明らかにしました。その結果、「明治維新」や「文明開化」について、従来とは異なる解釈の可能性を切り開きました。第二に、日本の思想史の展開を、東アジア各地域の儒学思想などとの比較を試みつつ、捉えていることです。その視野の広さは特徴的で、同氏の研究は、英語の他、中国語・韓国語にも翻訳され、国際的な注目を集めています。
主要な著書・論文
- 『近世日本社会と宋学(増補新装版)』(東京大学出版会、2010年。初版1985年)
- 『東アジアの王権と思想(増補新装版)』(東京大学出版会、2016年。初版1997年)
- 『日本政治思想史 17-19世紀』(東京大学出版会、2010年)
- 『明治革命・性・文明:政治思想史の冒険』(東京大学出版会、2021年)
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