会員情報
氏名
田中成明(たなか しげあき)
所属部・分科
第1部第2分科
選定年月日
令和6年12月12日
専攻学科目
法哲学
現職等
京都大学名誉教授
受賞等
〔国内〕
瑞宝中綬章(令和2年)
〔海外〕
外国アカデミー会員等
主要な学術上の業績
田中成明氏は、法哲学(法理学)の主要問題領域それぞれの根本的課題の緻密な理論的分析に基づき、法の支配のもとでの議論・交渉フォーラムと法の三類型モデルを基軸とする独創的な理論枠組を用いて、重厚かつ画期的な理論体系を構築しました。田中氏は、法というものを刑罰などの強制的サンクションによって人々の行動を規制する「命令・裁定システム」ととらえ、市民を法の規制対象と位置付ける従来の支配的な見方は再考すべきであり、法システム全体を自由平等な市民が、公正な手続的条件のもとで自主的に交渉し理性的に議論することによって行動を調整する「フォーラム」として把握すべきであるという視座を強調し、法哲学をはじめとする基礎法学の新たな知的地平を切り開きました。同氏は、このような理論枠組と視座からの現代法の問題状況の洞察に基づいて、わが国の法律学・法実務が直面している現代的諸課題についても考察を積み重ねてきました。その成果は高い評価と信頼を得ており、それによって法哲学(法理学)と法律学・法実務との架橋に貢献してきています。
主要な著書・論文
〔著書〕
- 『裁判をめぐる法と政治』(有斐閣、1979年)
- 『法的思考とはどのようなものか-実践知を見直す』(有斐閣 1989年)
- 『法的空間-強制と合意の狭間で』(東京大学出版会、1993年)
- 『現代社会と裁判-民事訴訟の位置と役割』(弘文堂、1996年)
- 『転換期の日本法』(岩波書店、2000年)
- 『現代法理学』(有斐閣、2011年)
- 『法の支配と実践理性の制度化』(有斐閣、2018年)
- 『カントにおける法と道徳と政治』(有斐閣、2023年)
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