日本学士院

会員情報

 

氏名

小山貞夫 (こやま さだお)

 

所属部・分科

第1部第2分科

選定年月日

平成22年12月13日

専攻学科目

西洋法制史

現職等

東北大学名誉教授

受賞等

〔国内〕
文化功労者(令和4年)

〔海外〕

外国アカデミー会員等

 

主要な学術上の業績

小山貞夫氏の学術的功績は、イングランド法制史学を日本に根付かせ、法制史学界の視野を飛躍的に拡大させた点にあります。この分野の最重要課題は、在来の法制が深刻な社会変動に直面したときの対応ぶりを解析することです。3冊の論文集※に結集している小山氏の業績の中でも「マグナ・カルタ(1215年)の歴史的意義」及び「マグナ・カルタ神話の創造」、「陪審制と職権的糾問手続への史的岐路」等の論文は、島国イングランドがこうした変動期にヨーロッパ大陸諸国とは異なり、ローマ法を継受するのではなく、12世紀以後の独自の法を近代まで維持発展させる形でいわゆる英米法を形成してきた歴史を明快に描き出しています。
9世紀以後、中国から離れた独自の法を発展させ、さらに19世紀に西洋法を導入した歴史をもつ日本は、「中国法対日本法」と「西洋法対日本法」という2つの視点から研究を蓄積してきましたが、ここに同氏は「ヨーロッパ大陸法対英米法」という第3の視点を付け加えました。これは学界に飛躍的な発展の道を拓くものです。

※3冊の論文集 『中世イギリスの地方行政』(創文社、昭和43年、増補版平成6年)、『イングランド法の形成と近代的変容』(創文社、昭和58年)、『絶対王政期イングランド法制史抄説』(創文社、平成4年)

主要な著書・論文

著書

  1. 『中世イギリスの地方行政』、創文社、1968(増補版1994)
  2. 『イングランド法の形成と近代的変容』、創文社、1983
  3. 『絶対王政期イングランド法制史抄説』、創文社、1992
  4. 『英米法律語辞典』、研究社、2011

翻訳書

  1. メイトランド著『イギリスの初期議会』、創文社、1969
  2. ベイカー著『イングランド法制史概説』、創文社、1975
  3. メイトランド他著『イングランド法とルネサンス』、創文社、1977
  4. メイトランド著『イングランド憲法史』、創文社、1981
  5. クライムズ著『中世イングランド行政史概説』、創文社、1985
  6. ヴァン・カネヘム著『裁判官・立法者・大学教授―比較西洋法制史論―』、ミネルヴァ書房、1990

論文
多数

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