日本学士院

第15回学びのススメシリーズ講演会講演要旨

物語を彩る「キャラクター」と「役割語」   金水 敏

「そうじゃ、ワシが知っておるんじゃ」というセリフを聞けば老博士、「そうですわ、わたくしが存じておりますわ」というセリフを聞けばお嬢様、というように、人物像から連想される話し方を「役割語」と呼びます。日本語には多くの種類の役割語が存在し、マンガ、アニメ、絵本、ドラマ等で活用され、物語の理解を助ける働きをしています。役割語はどのようにして生まれ、発達してきたのでしょうか。また、日本語以外の言語には役割語は存在するのでしょうか。本講演では、このような問題について、夏目漱石、芥川龍之介の小説や名探偵コナン、ジブリアニメなど、身近で親しみやすい作品の例を用いながら、役割語の謎について探っていきます。