日本学士院

第6回学びのススメシリーズ講演会講演要旨

生命40億年の歴史を顕微鏡で探る
—生物進化の長旅を自分のゲノムDNAで観てみよう—   黒岩常祥

皆さんの身体は約60兆個の「細胞」からできています。同様に皆さんをとりまくあらゆる動植物も細胞からできています。そしてその細胞の中を調べてみますと、これら地球上に棲息するほとんどの生物の細胞は基本的には同じ構造をしていることが分かりました。その理由は、今から約40億年前に誕生した生命(細菌)は、20億年経った頃、これらの細菌どうしが共生して、われわれの源となる新しい生命体(真核生物という)を作りました。そしてアメーバのような単細胞の真核生物は増え続け、多細胞生物へと進化し、今日の生物の世界を形成したからです。この生命の40億年にわたる歩みを顕微鏡下の細胞に観ることができます。今回わかり易い顕微鏡写真や図で、生命誕生から皆さんに至る40億年の冒険と驚異の歴史を紹介したいと思います。また講演後に実際に自分で顕微鏡を使って自分の設計図であるゲノムDNA(核)を観察して頂こうと思っています。上手く染色できれば細菌の子孫であるミトコンドリアのDNAも見えます。