物故会員個人情報
氏名
伊藤誠 (いとう まこと)
所属部・分科
第1部第3分科
選定年月日
平成15年12月12日
退任年月日
令和5年2月7日
専攻学科目
政治経済学
過去の要職
- 東京大学名誉教授
- 國學院大學教授
- 国士舘大学教授
受賞等
〔国内〕
- 瑞宝重光章(平成23年)
- 経済理論学会ラウトレッジ国際賞(平成28年)
〔海外〕
- The World Association for Political Economy, Marxian Economics Award (2012)
主要な学術上の業績
伊藤誠会員は、第2次大戦後、独自の発達を遂げたわが国のマルクス経済学研究の最先端を担ってきた代表的理論家の1人です。とくに従来難問とされてきた信用と恐慌の原理的関連や、いわゆる転形問題を含む価値論の展開上の論争点について独自の解決を試み、注目すべき成果をあげました。また同会員は、わが国のマルクス経済学研究の蓄積を諸外国に紹介しつつ、日本における研究成果を活かして欧米マルクス学派と交流をすすめました。ことに、基礎理論、現代資本主義論、社会主義論などの争点をめぐり、英文の著書6点において重要な貢献を加え、海外でも注目を集めています。それとともに、西欧諸国のいわゆる「マルクス・ルネサンス」のなかで開発された新たな学問上の理論や分析をわが国学界へ導入しつつその検討にも取り組み、後続の研究者に大きな影響を与えてきました。それらを通じて、欧米、中国、日本にわたる世界的なマルクス経済学研究のネットワーク形成にも顕著な寄与を果たしています。
主要な著書・論文
- 『信用と恐慌』,東京大学出版会,1973.4.20. (324+viiiページ)
- Value and Crisis, Monthly Review & Pluto, 1980. (192 pages), second expanded edition, 2021. (304 pages)
- 『価値と資本の理論』,岩波書店,1981.7. (401+viiiページ)
- The Basic Theory of Capitalism, Macmillan,1988. (432 pages)
- The World Economic Crisis and Japanese Capitalism, Macmillan, and St.Martin's, 1990. (263 pages)
- 『逆流する資本主義』,東洋経済新報社,1990. (267ページ)
- 『現代の社会主義』,講談社学術文庫,1992.1. (279ページ)
- 『現代の資本主義』,講談社学術文庫,1994.5.10. (286ページ)
- 『市場経済と社会主義』,平凡社,1995.2.20. (285ページ)
- Political Economy for Socialism, Macmillan, 1995.6. (238 pages)
- 『日本経済を考え直す』,岩波書店,1998.11. (228ページ)
- Political Economy of Money and Finance,(共著者 Costas Lapavitsas)Macmillan and St. Martin's Press, 1999.1. (301 pages)
- The Japanese Economy Reconsidered, Palgrave, 2000. (153 pages)
- 『幻滅の資本主義』, 大月書店, 2006.3.20.(266ページ)
- 『「資本論」を読む』, 講談社学術文庫, 2006.12.10. (477ページ)
- 『サブプライムから世界恐慌へ』, 青土社, 2009.7.15. (188+ⅵページ)
- 『伊藤誠著作集』全6巻、社会評論社、2009.9.-2012.5. (全2324ページ)
- 『日本経済はなぜ衰退したのか:再生への道を探る』平凡社新書、2013.4. (230ページ)
- 『経済学からなにを学ぶか—その五〇〇年の歩み—』平凡社新書、2015.3. (271ページ)
- 『マルクス経済学の方法と現代世界』桜井書店、2016.9. (310ページ)
- 『資本主義の限界とオルタナティブ』岩波書店、2017.2.(201ぺージ)
- 『入門 資本主義経済』平凡社新書、2018.2. (302ページ)
- 『マルクスの思想と理論』青土社、2020.1(240ページ)