会員情報
氏名
石井寛治(いしい かんじ)
所属部・分科
第1部第3分科
選定年月日
平成21年12月14日
専攻学科目
日本経済史
現職等
東京大学名誉教授
受賞等
〔国内〕
日経・経済図書文化賞(昭和59年)
テレコム社会科学賞(平成8年)
紫綬褒章(平成15年)
大日本蚕糸会蚕糸功績賞(平成27年)
〔海外〕
外国アカデミー会員等
主要な学術上の業績
石井寛治氏は、戦前期日本の製糸業の生産・流通過程を経営文書に基づいて分析し、日本生糸が世界市場を制覇したのは、近世以来の発展と日本銀行 を頂点とする政策的金融の故であることを究明しました。
次いで同氏は、幕末維新期の日本に進出した英国ジャーディン・マセソン商会の活動をケンブリッジ大学の同商会文書によって分析し、同商会の国内進入が日本政府と日本商人によって阻止されたことを明らかにしました。
さらに同氏は、幕末維新期の両替商の経営帳簿の分析を通じて、手形取引の著しい発展が外国商人の国内進入を防いで日本商人の資金蓄積を支え、その資金が日本産業革命の主要な資金源となったことを究明しました。
石井氏は、こうした産業史分析によって戦前期日本が外資にあまり頼らないで経済発展できた事実と理由を究明しつつ、日本型ブルジョアジーの多くが相次ぐ戦争を批判しながらそれを阻止できなかったのは何故かを問題とし、帝国主義日本の対外活動の研究を深めました。
主要な著書・論文
- 『日本蚕糸業史分析』東京大学出版会、1972年
- 『近代日本とイギリス資本』東京大学出版会、1984年
- 『大系日本の歴史12 開国と維新』小学館、1989年/小学館ライブラリー、1993年/『明治維新史』と改題、講談社学術文庫、2018年
- 『日本経済史〔第2版〕』東京大学出版会、1991年
- 『情報・通信の社会史』有斐閣、1994年
- 『日本の産業革命』朝日新聞社、1997年/講談社学術文庫、2012年
- 『近代日本金融史序説』東京大学出版会、1999年
- 『日本流通史』有斐閣、2003年
- 『経済発展と両替商金融』有斐閣、2007年
- 『帝国主義日本の対外戦略』名古屋大学出版会、2012年
- 『資本主義日本の歴史構造』東京大学出版会、2015年
- 『資本主義日本の地域構造』東京大学出版会、2018年
- 『日本蚕糸業史再考』東京大学出版会、2023年